現在、乳がんの患者さまは年間約6万人を超え、約1万2千人が死にいたっています。つまり、乳腺外来の患者さまが毎年約4万8千人ずつ増加していることになります。乳がんは若くして発症することが多く、患者さまは長い間、さまざまな不安や悩みを抱えます。好発年齢である50歳前後ではライフサイクルの上で役割が大きい、20歳代~40歳代では結婚や妊娠?出産への不安が大きい、治療方法の選択という意思決定が求められる、治療によるボディイメージの変化、セクシュアリティへの影響などが挙げられます。さらに、他のがんに比べて治療期間が長く、初発治療後10年以上と長期に渡って経過を診ていくため、再発?転移への不安が続きます。このような複雑な問題に対して専門的な支援を提供できる看護師が必要だということから、2003年に日本看護協会で乳がん看護を専門分野に特定し、2005年に千葉大学で教育が開始されました。私は、2006年の教育過程を修了し、2007年に乳がん看護認定看護師資格を取得しました。
乳がん看護認定看護師の役割は、患者さまだけでなく、そのご家族へ向けた診断(病名告知)後の心理的サポート、治療選択のサポート、集学的治療に伴う看護、ボディイメージの変容への看護、リンパ浮腫の予防などの実践のほか、看護スタッフの指導や相談対応、さらに多職種との連携によるチーム医療の推進などがあります。
私は、2013年より当院に勤務し、西7階病棟(移植?再建?内視鏡外科、乳腺?内分泌外科)に所属しています。主な活動として、手術を受ける患者さま、転移再発期にある患者さまに対して看護を実践しています。また、医師、外来や病棟看護師、緩和ケアチーム、地域医療連携室との多職種カンファレンスに参加し、患者さまが抱える問題を話し合ったり、複数の診療科に通院している患者さまについてスタッフからの相談に応じています。患者さまの療養の場は主にご自宅です。患者さまががんを抱えながらも安心して生活できるよう、診断早期から関われる支援を構築していきたいと考えます。