内閣府の2014年度版高齢社会白書によると、日本の高齢化率は2013年に25.%を超え、今では4人に1人が高齢者の時代となりました。更に、2035年には33.4%に達し、3人に1人が高齢者になると予測されています。認知症の有病率は2012年時点で15%と推計されています(厚生労働科学研究 筑波大学 朝田教授)。また、年齢が5歳上がるごとに倍増すると言われ、認知症有病率は今後さらに増加すると予測されます。高齢者は複数の疾患を持つことが多く、認知症をもつ高齢者が医療を受ける機会も増えていくと考えられます。
認知症看護認定看護師は2006年に認定が開始されました。2015年現在、472名が全国で活動しており(日本看護協会認定部)、認知症の患者さまが直面している状況を統合的にアセスメントし、ケアの実践や体制づくり、介護家族のサポートなど、生活?療養環境を整える役割を担っています。また、他の医療スタッフや関係者とともに、患者さまの生命、生活の質、尊厳を尊重したケアを考え、提供しています。
私は現在、老年科のある西15階病棟に勤務しており、年間約100名の認知症の患者さまとの出会いがあります。入院を要する場面で、苦痛や環境の変化に懸命に向き合っている患者さまと、介護するご家族を支えるために、当院では地域医療連携センターのスタッフと定期的に多職種カンファレンスを行い、最良の方法を検討しています。患者さまの苦痛や不安をできるだけ取り除き、こころもからだもより健康に近づけられるよう、院内?外に関わらず様々な方と連携して取り組んでいきたいと考えています。