お知らせ
東北大学病院循環器センターの開設について ―東北地方?東日本の循環器診療の拠点―
<概要>
平成24年7月1日から「東北大学病院循環器センター」が開設されますのでお知らせいたします。東北地方や東日本の循環器診療の拠点としての活躍が期待されます。
<解説>
東北大学病院の循環器診療の特徴は、循環器内科と心臓血管外科の連携のもと、虚血性心臓病(狭心症や急性心筋梗塞)?心不全?不整脈?肺高血圧症?心筋症?大動脈疾患など、幅広い循環器疾患に対して最新の高度医療を実践?提供していることです。特に東北大学病院は、心臓移植と肺移植の両方の臓器移植が認定されている全国に3ヶ所しかない医療機関(本院、大阪大学病院、岡山大学病院)のうちの1つであるため、仙台市内?宮城県内や東北地方のみならず、広く東日本各地から、多くの重症の心不全や肺高血圧症患者様をご紹介いただいております。また、人口の高齢化に伴い、慢性腎臓病や閉塞性動脈硬化症などを合併し、より高度の集学的治療を必要とする心臓病患者様の割合も年々増加してきております。こうした背景を受けて、さらに高いレベルの循環器医療を患者様に提供するため、この度、「東北大学病院循環器センター」を開設することになりました。
「循環器センター」の開設により以下の点が期待されます。
(1)循環器内科と心臓血管外科のさらなる連携による循環器高度医療の提供
初代センター長には下川宏明循環器内科長(循環器内科学教授)、副センター長には齋木佳克心臓血管外科長(心臓血管外科学教授)が就任します。センター化することにより循環器内科と心臓血管外科の連携がこれまで以上に深くなり、より良質な循環器チーム医療の提供が可能になります。特に、臓器移植法改正以降、徐々に増加している心臓移植や、心臓移植への橋渡し治療である植込み型補助人工心臓装着に関して、その適応決定から実施までの治療方針の一本化と迅速化を図れることになります。また、心臓への新たな低侵襲性治療として注目されている経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)に代表されるように、近い将来、循環器内科医と心臓血管外科医が一つのチームとして治療を行うケースが増えてきます。センター化し運用することで、きめ細かなチーム診療が可能になります。
(2)新CCU(心臓血管疾患集中治療室)の開設による診療体制の強化
「循環器センター」の開設に伴い、これまで大学病院西病棟3階集中治療部(旧重症病棟部)内にあったCCU(Coronary Care Unit:心臓血管疾患集中治療室)を西病棟9階に移動?新築しました。新CCUは開放病床6床、感染症を合併した心臓病患者様への対応を考慮した個室病床2床の合計8床を備えています。全てのベッドに最新のモニタリングシステムが完備され、様々な処置や急変時に備えてベッド周りは十分なスペースが確保されており、24時間体制で循環器疾患に精通した看護師が配置されます。CCUが西病棟9階に移動することになり、同一階の一般病床(78床)との連携が図りやすくなることが期待されます。また、気管内挿管?人工呼吸器など集中治療が必要な患者様は、これまで通り呼吸管理の専門家である麻酔科と連携して集中治療部にて治療します。したがいまして、「循環器センター」では患者様の重症度に応じて集中治療部、新CCU、一般病床の3段階の病床を有効活用することができるようになり、急性期治療から社会復帰に向けてのリハビリテーションまで、切れ目のない診療を行うことができるようになりました。
(3)最先端の臨床研究と人材の育成
これまで東北大学は伝統的に「研究第一主義」を旗印としてかかげ、世界に多くの情報を発信してきました。「循環器センター」は、低出力体外衝撃波を用いた非侵襲性血管新生治療や肺高血圧症に対する分子標的治療の開発、吸収性新素材を用いた新しい心膜癒着防止材の開発、極細径光ファイバ圧センサの開発など、基礎研究の成果を臨床に応用する、いわゆるトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)の実践の場となります。学生や研修医、若手循環器内科医?心臓血管外科医らにとってこうした環境の中で学び、働くことは生涯にわたる財産となります。「循環器センター」が、地域医療や我が国全体の医療に大きく貢献できる人材の育成に大きく貢献することが期待されます。
お問い合わせ先
東北大学病院 循環器内科 下川 宏明
電話番号:717-7151
取材申し込み窓口
東北大学病院 総務課長
電話番号:717-7003
※「東北大学病院循環器センター」の開設が7/5の読売新聞に掲載されました。詳細は、下記URLをご覧ください。
リンク先:東北大学大学院循環器内科学/東北大学病院循環器内科
http://www.cardio.med.tohoku.ac.jp/news/index.html#472