お知らせ
手術支援ロボット「ダヴィンチ」による手術開始について
東北大学病院では、今年2月より手術支援ロボット「ダヴィンチ」による腹腔鏡下前立腺全摘術を開始しました。
手術支援ロボットはストレスの少ない、より複雑で細やかな手術手技を可能にし、3次元による正確な画像情報を取得できるため、より安全かつ侵襲の少ない手術が可能となります。
米国では約1450台、欧州では約350台、韓国では約40台が稼働しており(2011年6月時点) 、中でも米国では、前立腺癌に対する根治的前立腺摘除術のおよそ85%がロボット支援手術で施行されています。
日本においても2012年現在で約40台が稼働しており、今年4月からロボット支援前立腺全摘術が保険適用となったため、今後急速に普及することが予想されます。
手術支援ロボット「ダヴィンチ」は、患者接続用ロボットアームのある患者カート、モニターなどのビジョンカート、術者が操作するサージャンコンソールの3つから構成され、術者は患者とは離れた場所で、精細な3次元画像を見ながらロボットアームを操作して手術を行います。ロボットアームに装着された鉗子は多関節のため可動域が広く、複雑な動きに対応可能で、吸引やクリッピングなどの操作は、患者カート付近で助手が行います。特殊な体位で行われるため麻酔科医との連携が不可欠であり、また、複雑なシステムを動かすために高度なトレーニングを受けた手術室看護師、MEなど、専門スタッフの協力が重要となります。
ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術は、従来の手術法に比べてより繊細で、正確な手術を行うことができるため、根治性だけでなく尿禁制(尿失禁がない状態)、性機能などの機能温存においてより優れた成績が期待されています。出血量は開腹手術よりも明らかに少なく、創が小さいために手術翌日から歩行が可能です。前立腺摘出後の膀胱尿道吻合も多関節鉗子を用いて正確に行うことが出来るため、尿道留置カテーテルの早期抜去が可能になります。
泌尿器科では今後、膀胱全摘術、腎癌手術、尿路形成手術などにロボット手術の適応になってきます。胃腸外科、婦人科などいくつかの診療科でもロボット手術導入が検討されています。ロボット手術は今後次世代手術の一端を担う分野になることが期待されます。
なお、詳細については、下記URLをご覧ください。
リンク先:東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座泌尿器科学分野
URL:http://www.uro.med.tohoku.ac.jp/
URL:http://www.uro.med.tohoku.ac.jp/patient_info/ic/p_d_01.html